「モノ」から「コト」へ

これは目の前で実際に見たことです。

以前にもこのブログで取り上げたがオーディオ・コンサルタントの
カイザーサウンドの貝崎さん。

http://r-research.co.jp/blog/?p=1611


http://r-research.co.jp/blog/?p=1661

その貝崎さんが「どうしてもやらせてほしいことがある」と言う。
「加速度組立」

は?加速度組立????

実際に行うことは、スピーカー表面のネジを交換するだけという。
「今の状態ではアルミのバッフルとステンレスのネジが喧嘩をしていて音が
前に出ていない状態。ユニクロのネジと交換するだけで全然違う。さらに
どのネジがどの場所にふさわしいかを判断して決めます」
しかも、ユニクロのネジ? これはユニ・クロームメッキのことでした^^;。

この図は現在使っているネジをどこに移すかを設計した絵。


で、結論ですが、信じられないくらいの音に変化したのです。
大音量を出しても音が崩れない。ビッグバンドでは一つ一つの楽器の音が
はっきり見える。機器の交換は一切おこなっていない。最終的はアナログ
のような雰囲気が出た。プロの仕事だ。

オーディオの場合、買ってきた製品をただ、置いただけではその機器のポテンシャルを
発揮することはできない。これは断言できます。何しろ自分で体験したのだ。

ところがメーカーはその手間を惜しんだ。
本来なら購入した家に行き、部屋の相性や電源の環境などを見た上で最高の
セッティングをするべきだった。
これは手間がかかるうえに、熟練の達人を育てるのに膨大な手間がかかる。

いいものを作って、置けば鳴る。要するにサボった。
しかも、もっといい音を聞きたければ「新製品」を購入すればいい、という
姿勢を選んだ。
別に、新製品を求めなくても今のコンポが持っているポテンシャルを引き出して
やることで、さらにいい音で聴くことが可能だ。私は身をもって体験した。

数多いたオーディオファンは「さらにいいものを買えば」に耐えられなくなり、
趣味としてのオーディオを離れた。若い人はiPodとヘッドフォンで十分だと
思い込んでいる。趣味としてのオーディオは絶滅危惧種だ。

もちろん、環境として大音響を楽しめる人の数は少ない。しかし、いいオーディオは
セッティングによっては小音量でもいい。そしていい音楽は人生を豊かにする。

いくら「いいモノ」を作っても新興国がすぐに追いついてくる。
日本のメーカーに求められるのは、セッティングに代表される「コト」を事業化することだ。
「モノ」は簡単に真似されるが、「コト」はマネをされにくい。
同じ土俵で競合しても新興国には叶わない。コストが10倍差がある。
かつての日本と同じ「安かろう悪かろう」を脱却して「安くていいもの」を作り出している。
今やiPadやiPhoneの部品は韓国や中国が作っている。日本は選ばれないのだ。

世界中の一流の砲丸投げの選手は、競ってある埼玉にある工場の玉を求める。
重心がぴたりと真ん中にあるという。この技術は門外不出でこのメーカーにしかできない。
製法上の工夫ではないらしい。

「モノ」から「コト」への脱皮が肝心だと思う。


本当にやったことは両スピーカーの32本のネジを交換しただけ。私は今、幸せだ。
数百万のアンプを購入する効果をその1/100で実現したのだ。