第三の男

ラルフ・ネーダー
この名前に覚えがある人は、結構米国大統領選挙フリークですよ。
消費者運動家として名高い氏は、
2,000年、2,004年、2,008年と米国大統領選挙に出馬している。
もちろん、民主党、共和党の候補ではないから、当選の可能性はほぼゼロ。
マス・コミを通じても全くと行っていいほど報道されない。
だからと言って日本の泡沫立候補者とは全く違う。
彼は消費者運動を通じて全米にその名を知られる社会運動家である。

私がなぜ彼を知っているかと言うと大学の卒論で「消費者運動の今後の趨勢」
と言うテーマで書いたからである。
1934年生まれ、現在74歳。
弁護士、大学教授、労働次官のアシスタントを経て
1965年に
「どんなスピードでも自動車は危険だ」
と題する乗用車の欠陥を指摘する本を出版し、国内で騒然たる論議を巻き起こした。
アメリカの自動車産業がシートベルトなど安全装置の導入に抵抗し、安全性
向上のための投資を渋っていると告発。同時にシボレー・コルベアの欠陥に
より、複数名が自動車事故でなくなっている事を指摘した。

結局、裁判を通じてネーダーはGMに勝利し、コルベアは生産中止に追い込まれた。
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消費者運動と言う言葉を国内に広め、GMという巨人に勝利した彼の名声は
揺るぎないものとなった。
この結果を受けて米国政府は自動車の安全に関する法律や部署を設定し、
ネーダーの告発は勝利に終わった。
その後も、彼の活躍に賛同した「ネイダーズ・レイダーズ」(ネーダー攻撃隊)
と、共に消費者保護運動に取り組み、様々な法案やアメリカの政府機関の
設立に寄与した。
若くてイケ面でもあったネーダーはその頃には既に亡くなっていたケネディの
後継者と見なされる時期もあった。しかし彼は政党に属することなく運動を
続けたため「大統領」は実現しなかった
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若き日の彼は私のヒーローでもあった(遠い目)。
そんな彼が突如として大統領候補として本選挙に出馬したのが2,000年である。
この年の大統領選挙はブッシュ対ゴアの大接戦となった。結局、フロリダ州の
再集計を辞退したゴア氏の敗北となり、ブッシュ氏が大統領に就任した。
この際に、もしレーダー氏が出馬を取りやめていれば」結果はゴア氏の勝利
となったことが確実だと言われている。この選挙でネーダー氏は全米で 2.7% 
投票を得ている。民主党とシンパシー性を持つネーダー氏への投票がゴア氏へ
の投票を減少する結果となったと考えられるからである。
(フロリダ州でのブッシュ、ゴアの得票差は538票、ネーダー氏への投票は97,488人)
あ、あぁ。歴史は変わっていたかもしれないのに(T_T)。
イラク戦争はなかったであろうし、環境問題への取り組みも変わったに違いない。
(ゴアはその後環境問題に取り組み「不都合な真実」でノーベル賞を受賞した)
2,004年はブッシュの圧勝の影に隠れ、得票率も0.4%と激減した。
2,008年にも立候補をしている。今や昔の面影もない泡沫候補として。
消費者運動のヒーロー。今日の消費者保護策の原型は彼の運動の成果である。
そんな彼が、なぜほぼ20年の沈黙を破って大統領選挙に出馬したのか、
理由がさっぱり分からない。謎です。